白昼夢
子供の頃に帰った僕。
線路の周りで遊ぶ僕がそこにいた。
誰も気がつかない裏の抜け道。
そこを使えば鬼ごっこでもかくれんぼでも負けない。
ところがその抜け道が大きく塞がれてしまった。
もうそこを自由に行き来することはできなくなった。
僕は機転を利かせ鍵を解いてもらった。
しかしそれが全ての始まりだった。
周りからは明らかに不正をしているという疑念と視線。
もう二度と同じ手は使えないという後悔。
学校でのテスト、僕の答案用紙がいつの間にかなくなった。
用紙は確かに回収されたはずなのに…
重々しい空気が視線を僕へと向かわせる。
よくよく突き詰めていくと、先生は採点をしたという。
ではその後に誰かが…?
先生曰く、点数そのものは悪くなかった。
では何故に紛失したのか?
ついに用紙は見つからず、先生もおおよその点数を覚えていたので、
ヒアリングで成績をつける形で決着した。
急転直下、昵懇の女性から真相が明らかに。
決して疑いすらしなかった彼女からの告白に僕は悩んだ。
真相を知り得たものの、それが果たして良かったことなのか。