○「できる人」「できない人」にまつわるカン違い

  1. 「できるだけ」人件費を抑えたい。世界一、人件費の安い会社にしたい」が会社を滅ぼす。日本一優秀な人材が集まっている会社の人件費は、当然、日本一高くあるべき。つまり、人件費を増加させなければならないという事態は、できる人間が増えてきた「喜ぶべき事態」。
  2. いい人材=入社して2,3ヶ月で給料分以上の働きをする「黒字社員」となる人材。
  3. できる人が辞める会社は最低だと認識しなければならない。会社が目指すべき大前提は、できる人間が辞めないこと。そのためには、彼らの実力を正当に評価すること。地位の向上もあるが、端的には報酬のアップを。
  4. 公文式の基本は、本人の実力より少しだけ上の問題を与えること。達成感と同時にやや上の問題に挑戦する楽しみや意欲を養う。この基本は企業教育にも通じるが、それを実践している企業はまれ。
  5. 多くの社長達は「公文式」と逆を行い、「100の力を持っている社員に100w超える仕事をさせたら、仕事の質が落ちる」と言う。100の力の社員に90の仕事を一年間続けさせると、一年後彼の力は90まで落ちている。逆に120の仕事を与えたら、1年後120をこなしているはずだ。目標設定を「実力のやや上」というあたりに置くこと。恐らく20パーセント上乗せぐらいが適当。
  6. 成功するには「人一倍の努力」と「少しの才能」の両方が必要不可欠。
  7. カツノリは古田になれないが、古田はカツノリになる可能性はあった。環境がなければ才能は開花しない。環境があったのに、カツノリが古田になれなかったのは、素材の違いにあった。
  8. 人材をパターン別にわけると「仕事ができる経験者」、「仕事ができる未経験者」、「仕事ができない経験者」、「仕事ができない未経験者」の4つ。
  9. 「仕事ができる経験者」は人材マーケットにほとんど流れない。「仕事ができる経験者はよほどの事情がないかぎり、辞めようと思わない」、「待遇面でも恵まれているので不満がない」、「辞める時にはたいてい次の職場がきまっている」という理由から。
  10. いい人材が欲しいという経営者は「経験豊富な人」、「元気があって声が大きい人」等あるが、いい人材とは「仕事ができる人」、「会社に利益をもたらす人」であって、「元気で仕事ができない人」ではない。「元気がいい人」を採用の基準にしてはいけない。
  11. 「仕事ができる、いい人材」というのにもランクがある。まず、企業が要望する仕事を正確に理解し、期待どおりにこなすことができるというレベルの「できる人材」(企業に約2割)。さらにワンランク上の「自分で仕事を作り出せる人間」もいる。言われたことを完璧にこなす優秀な人材が何人いても、仕事を作り出す人がひとりもいないと会社は成長できない。ビジネス自体を作り出せる人間がどれだけいるかが、100人以上の会社をつくるためには必要。
  12. 中途採用で応募していくる人の大半は、「後ろ向きの理由」で前の会社を辞めていることが多い。
  13. 日本の転職マーケットにやってくる人材のほとんどが、ピラミッドでいえば、底辺に近いところにいる。
  14. 企業が重視する能力は、1に明晰な頭脳、2に行動力、3に向上心・責任感。
  15. 不況を脱するためには、確実に利益をもたらしてくれる人材を増やす以外に方法はないし、不況であればあるほど、そういう人材は「売り手市場」にいるということを自覚しなければならない。少子化で人材が減っても、少数のおいしいリンゴを求めての争奪戦は変わることなく繰り広げられる。
  16. 「能力がまったくなければ育たない」という原理はあるが、素材がよくても、育たない場合があるということも否めない。
  17. 素材がよい人を育てる環境とは、企業風土がいいこと、教育制度を設けること、評価制度を作って仕事への意欲を高めることなどいろいろできるが、素材の周りに配置する人材が重要。素材をリードする立場にいる人間が彼に与える影響はきわめて大きい。
  18. 伸びる素材を持って入ってきた新入社員の周囲に配置すべきは、「よい習慣を身につけている人材」。向上心、責任感、実行力を備え、なおかつ努力している人材。「まだまだ足りない」という自覚を持って仕事に取り組んでいる人間。
  19. 伸びる企業とは、できる人材を社内に多く持っているか、圧倒的なビジネスモデルをもっている企業。
  20. 企業がのびていくためには、人材の質か、オペレーションシステムかのどちらかが必要。
  21. 人材が「どこでも欲しい人」と「どこからも求められない人」に二極化。
  22. 企業も「誰もが入りたい会社」と「誰も入りたくない会社」に二極化。
  23. いい人材がきてくれるシステムを作ればいい人材は来る。そのシステムとは、働きやすさやモチベーションが上がるような環境、待遇面の向上など。待遇面より大事なものとは、たとえば、経営者のもつ魅力的な経営哲学や、働きやすいオフィス環境など。人からいい会社だ、かっこいい会社だと言われたい。愛社精神はそういうところから生まれる。
  24. 社員の会社への満足なしに顧客の満足などありえないと断言する。社員は、自分が満足して初めて、客にも心のこもった対応ができる。
  25. できる人材であればあるほど、五感が敏感で、自分の持つ感覚すべてを使って会社を値踏みする。
  26. できる人材に来てもらうためには、ワンマンも決して悪くない。社長の個人的な魅力か、あるいは会社の将来性やビジョンで引っ張るしか方法はないからである。