嘔吐

昔好きだった女性に

ひょんな形で会ってしまった。


とても苦しそうにしている彼女。


何かを食べ、吐き出しそうになっているが、

なかなか吐けそうにない。


私はそばに駆け寄り、抱きかかえ、背中をさすった。


今にも吐き出しそうなのだが、さしたる袋もない。


とっさに手を口のそばに当て、

「だいじょうぶ。手で受け止めるから。」と彼女に言い聞かせると、

糸が切れたかのようにふたつのかたまりを吐き出した。


ぐったりとなる彼女をさすり続ける私がそこにいた。