「勉強したい」貧しさでかなわず… 小6少女自殺、比社会に衝撃

中日新聞:「勉強したい」貧しさでかなわず… 小6少女自殺、比社会に衝撃:国際(CHUNICHI Web)
http://www.chunichi.co.jp/article/world/news/CK2007111402064129.html

 【マニラ=吉枝道生】フィリピン南部ミンダナオ島ダバオ市で、小学校6年生の少女(12)が自ら命を絶った。貧しさを苦にしたとみられ、子供の自殺がほとんどない同国で衝撃が広がっている。

 地元紙「インクワイアラー」などによると、少女はマリアネット・アンパーちゃんで、今月2日、自宅で首をつって死亡。少女の家は電気も水道もなく、貧困層が住む地域の中でも特に貧しかったという。

 自殺の前日、少女は学校で必要なものを買うため、父親から100ペソ(約260円)をもらおうとしたが、建設作業員の父親は仕事がなく、お金を渡せなかった。翌日に父親は借金をしてきたが、少女は既に命を絶っていたという。母親は工場などで働いていたが、収入はわずかだった。

 死後、少女の枕元から手紙が見つかった。視聴者の望みをかなえる人気テレビ番組あてで、「私の望み」として「勉強を全うすること、自転車、学校のかばん、靴、両親の仕事」を挙げていたが、投函(とうかん)されることはなかった。

 少女は交通費や食費が足りずに学校に行けないことも多く、学校の隅で泣いている姿が何度も目撃されていた。

 フィリピンではカトリック教徒が多いこともあって、子供の自殺はほとんどみられず、議論が沸騰。政府の責任が問われる中、アロヨ大統領は飢餓・貧困対策として、10億ペソ(約26億円)の追加拠出を表明した。また、自殺した少女の家族には、仕事の提供や寄付などの申し出が相次いでいるという。